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連載:展示会レポート

隅から隅まで大解剖!?「デザインの解剖展」に行ってきた! 
誰もが憧れるおしゃれな街「六本木」の東京ミッドタウン・ガーデン内にある「21_21 DESIGN SIGHT(トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト)」にて開催中の企画展 「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」に行ってきました。
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館内を進んでいくと、まずこの展示のアートディレクターを務めたデザイナー「佐藤卓さん」のメッセージが寄せられています。

一口に解剖をいうと、理科の実験を彷彿とさせますが、アートディレクターである佐藤 卓さんは「デザインの解剖」について、このように説明しています。
「デザインの解剖」とは、①身近なものを ②デザインの視点で ③外側から内側に向かって ④細かく分析することで ⑤ものを通して世界を見る ⑥プロジェクトです。
商品開発や大量生産品のパッケージデザインを多く手掛けるようになって、ある時、デザインの視点でものを外側から内側に向かって解剖するというプロジェクトを思いつきました。デザインという言葉には、形や色といった目に見える視覚的印象が強くありますが、もともと「設計」という重要な意味が含まれます。
~中略~
デザインが経済の道具として理解されることが多くあるばかりか、つい経済と文化を分けてとらえがちです。しかし、実はデザインには経済と文化をうまく繋ぐ力があるのです。
この展覧会では、ごく日常生活に馴染んでいるものを、デザインの視点で解剖し、展示解説いたします。
「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」が、解剖的視点でものを見る目を少しでも養う手助けになれば幸いです。」
ディレクターズ・メッセージより抜粋

「写ルンです」の大きな模型や、リカちゃん人形の骨格標本が、来場者を出迎えてくれます。
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続いて、デザインの解剖にあたっての手法と実践が書かれています。デザインの「解剖」の流れについての解説ボードがありました。これらを踏まえて早速メイン展示エリアへ進みます。
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超特大で圧巻の「きのこの山」

入った瞬間に一番目につくのは、両手を広げても収まらない大きさの、無造作にゴロっと転がった「きのこの山」の模型です。
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縦切りされた2~3mの大きな「きのこの山」もありました。これは「デザインの解剖展」のフライヤーのメインビジュアルにもなっている模型のためか、記念撮影をする人が多くいました。
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続いて、「きのこの山」の解剖です。
「きのこの山」のパッケージデザインを「背景イラスト」「メインビジュアル」「ロゴ」等の要素別に観察することが出来ます。1要素に1解説、といった展示スタイルで、1つ1つ読んでいくにつれ徐々にデザインの細部を理解できるような、展示スタイルとなっていました。
外装のパッケージデザインや、中袋のデザイン、味覚(苦味、甘味など)が詳細に展示されていました。
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中には「きのこの山」のカロリーをぶなしめじに例えたレシートの展示もありました。
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気になるカロリーは471kcal。ブナシメジなら29パック(約2300g)相当。
実際のきのこで置き換えて表現しているところが、ユニークな発想ですね。
形状の検証では「きのこの山」のカラーでしめじ、えりんぎ、しいたけ、えのきが並んでいます。やっぱり「きのこの山」は今の形が一番です!
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外装のパッケージに描かれている山のジオラマと「きのこの山」のロゴがありました。いつもは平面しか見ることのできないパッケージとロゴですが、立体的に見ることで奥行を感じることができ、デザインに深みがでます。
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歴史が感じられる「明治ミルクチョコレート」

「明治ミルクチョコレート」は現在のパッケージから歴代のパッケージの展示がありました。1番古いものは、大正15年までさかのぼり、「トーレコヨチクルミ治明」と右から読むパッケージを発見。歴史の深さを感じます。
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現在は、おなじみの茶色と金色を基調としたパッケージですが、ロゴが大きく配置されるデザインは今も昔も変わらない、シンプルかつシックなデザインとなっています。
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「明治ブルガリアヨーグルト」から「スーパーカップ」まで徹底解剖

「明治ブルガリアヨーグルト」は乳酸菌の解説やパッケージの印刷方法、密封の仕方等が展示されていましたが、中でも分かりやすい!と感じたのは、ヨーグルトの容量をスプーンに乗せ一口サイズに展示されていたものです。
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グラムで表示するより、実際の食べ方で表現することにより、内容量のイメージが付きやすく、なんだか親しみがわいてきます。

パッケージのデザインを分解したものも展示されていました。パス1つ1つが層のように分解されおり、たくさんのオブジェクトが重なり合って一つのデザインが構成されているのがわかります。
パッケージの印刷、は青色は2色の特色を基調とし、他2色の特色とプロセスカラーのイエローを使用し、さわやかなイメージを表現しています。
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中蓋のパッケージは多面付けされた、刷りっぱなし(断裁前)の展示もありました。いっぺんに印刷し、コストダウンと大量生産に対応しているそうです。
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一方「明治エッセルスーパーカップ」の中蓋も同様で多面付けで印刷しているのですが、印刷用紙が透明なため背景用に白インクを刷った後、その上から文字やロゴなどの情報を印刷しているようでした。
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そして、その近くには「明治エッセルスーパーカップ」の大きな模型が…!
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縦半分に割った模型で、普段は見ることができない断面をじっくりと観察できます。容器の形や、中蓋の接着面、アイスのなめらかさを感じられる空気層までも細かに再現されているので思わず見入ってしまします。

子供から大人まで楽しめる「明治おいしい牛乳」

「明治おいしい牛乳」のブースにはパッケージを積木にし、さわって楽しめる作品の展示がありました。50音それぞれの積み木が用意されており、それらを自由に組み替えることでオリジナルのパッケージを作ることができます。
お子様も楽しそうに自分の名前の牛乳を作っていた中、私も「いろどり牛乳」を作ってみました!
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最後に、製造から出荷までの流れがイラストで説明されいます。複雑な製造工程をイラストを中心に分かりやすく表現されています。
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まとめ

普段生活している中で見過ごしてしまうデザインですが、1要素づつ「解剖」していくことで、いつもと違う観点からデザインを観察することが出来ました。表面だけのデザインにとらわれず、どんなデザインにも意味があり色々な意図があると想いながら見れば、また違った楽しみが生まれます。超・超特大級の模型たちもかなり見ごたえがあります。
デザインに興味がある方、そうでない方も十分に楽しめる展示会となっております。ぜひ足を運んでみてくださいね。

企画展「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」
会期:2016年10月14日(金)- 2017年1月22日(日)
休館日:火曜日
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
URL:http://www.2121designsight.jp/program/design_anatomy/

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