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連載:初心者のための印刷基礎

スミノセ?リッチブラック?illustratorの黒色には種類がある! 
黒色は説明文や背景、オブジェクトなど、デザインの様々なところで使用されています。CMYKの4色の中でも、黒色はもっとも使用されることの多い色です。
黒色の表現は、CMYKカラーの組み合わせ次第で何パターンも作成できます。しかし、印刷データに使う黒色は、作成や設定する際に注意すべき点も様々あります。

今回は、印刷用データを作る際の黒色の設定についてご紹介。ほんの少しの設定だけで、黒色のバリエーションが生まれます。

※今回ご紹介する内容はAdobe illustratorで作成されたデータが対象となります。Microsoft officeやAdobe Photoshopなどは設定が異なります。ご注意ください。

スミノセとは?


K100%で作成された黒色の文字や図形などのオブジェクトは、印刷用データに変換する際にスミノセ(オーバープリントブラック)という処理が行われます。
CMYKの4色の中でも、K(黒)は文字色として多く使用されます。写真や背景色、オブジェクトなどの上に重ねて配置されることが多いため、黒色(K100%)にのみ印刷用にデータを変換する際に自動的にスミノセ処理が行われます。

スミノセ処理がされた黒色は、重なっているオブジェクトや写真の絵柄が透けたような状態(黒以外の色の上に重なっている状態)になります。
そうすることで、版ズレを起こしたときに文字の周りに白い輪郭線のような隙間ができることを防いでいます。



細かな文字であれば、背面の絵柄が透けていてもほとんど気にならず、版ズレの影響を受けにくくなります。
とても便利な機能ですが、キャッチコピーとして使用された大きな文字、写真の上に置いた黒いオブジェクトなどにスミノセ処理が行われた場合、意図せず背面の絵柄が透けしまい、思っていたイメージとは異なった仕上がりとなります。



そんな時には黒(K100%)にC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)のどれか1つの色を1%だけ混ぜたり、黒の色合いをK100%ではなくK99%にして真っ黒ではない(K100%ではない)状態にすることで回避することができます。
色合いは1%のみの差であるため、K100%の黒色と同様の表現となります。スミノセ(オーバープリントブラック)とは他に色が混ざっておらず、真っ黒の状態であるK100%の色にのみ適応されます。
そのため、1%でも違う色を足したり、減らすことで回避することができます。



全ての黒色をスミノセ処理すればいいわけではなく、全て回避すればいいというものではありません。
細かな文字にはスミノセ処理をさせ、大きな文字やオブジェクトは回避。使用している内容により個々に設定を行うことが大切です。

リッチブラックとは?


黒色をK100%だけではなく、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の色を混ぜて作られた黒色のことを「リッチブラック」と呼びます。
リッチブラックにすることで、青みがかった黒色を作ったり、K100%よりも深みのある黒色を表現することが可能になります。



黒色のなかにもバリエーションが生まれますね。K100%に比べて黒に深みが出るので、キャッチコピーなど部分的に使用するとより引き締まった印象になります。

しかしリッチブラックはK100%のときに比べて、インクの総量が増えることで印刷物の乾きが遅くなったり、裏移りの原因にもなります。
細かな文字にリッチブラックを使用すると、版ズレを起こした際に文字の輪郭部分に色が出てしまい、にじんだような仕上がりになってしまいます。

リッチブラックを使うときには、インク総量が合計で360%程度になる範囲内で設定し、細かな文字などには使用しないようにしましょう。

デザインには使用しない黒色「レジストレーションカラー」


CMYKすべての数値が100%、合計で400%となる黒色のことを「レジストレーションカラー」や「4色ベタ」と呼びます。
Adobe illustratorではスウォッチ内にこのような項目があります。



レジストレーションカラーは、デザインに使用するための色ではありません。
インク総量が400%と非常に高くなるため、リッチブラック同様に版ズレを起こしたときに細かな文字や線がにじみやすく、ベタ塗り部分に使用すると乾きにくかったり裏移りの原因となります。

デザインには使用しないレジストレーションカラーですが、印刷を行う際にはとても大切な役割を持っています。
オフセット印刷ではCMYKの4色の版を使って印刷を行います。そのときに版の位置がしっかりとそろっているのかを確認するトンボ(トリムマーク)にレジストレーションカラーは使用されているのです。



細かな文字や絵柄は版ズレを起こしてしまうとにじんだような仕上がりになってしまいます。その性質を利用し版ズレを起こしていないかを確認するため、0.1mm程の細い線にレジストレーションカラーを設定してトンボを作ります。

まとめ


印刷物の中でもっとも多く使われる黒色だからこそ、しっかりとこだわってデザインを作りたいものですね。
様々な黒色を上手に使いこなすことが大切です。

印刷通販のイロドリ「スミノセやリッチブラックについて」はこちら
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