やってみた 印刷物であんなことやこんなことをやってみた、編集部の挑戦の記録!

連載:展示会レポート

国立科学博物館の特別展「深海2017」に行ってきた 

上野公園内にある、国立科学博物館で開催されている『特別展 深海2017』に行ってきました。
4年前の2013年の夏にも、同じく深海をテーマにした特別展が開催され、「ダイオウイカ」の巨大標本が話題となりましたが、今回はさらにパワーアップ!早速深海の世界を堪能してみましょう。

そもそも深海とは


展示は、深海とはどのような場所なのかについての解説から始まります。深海について知っておくことで、先にある展示の理解がぐっと深まります。

深海に定義されるのは水深200m以降で、最も深い場所は10,000mを超えるほどの深さです。200~1,000mまでは僅かな光が届きますが、それ以降は光の届かない真っ暗な世界となっています。光が届かないため水温も低く、深くなるほどに水圧が強くなる、そんな過酷な環境が深海なのです。

深海に生きる生物

続いては今回の目玉、深海生物の展示です。発光する生物、食事の仕方、巨大な深海生物、日本の深海生物についてなど、テーマに分かれて紹介しています。

光る生物

展示の見どころの1つが、深海で発光する生物の展示です。地上にもホタルなどの光を発する生物はいますが、深海では9割以上の生物が発光するといわれています。その中でも、発光する理由は生物によって様々。生物ごとの活用の仕方を、動画でわかりやすく解説しています。発光生物の標本も展示しており、実際の発光器官を目で確認できるものもいました。


こちらは光る深海生物として有名なチョウチンアンコウ。名前の由来となったちょうちんの部分が発光し、餌と勘違いさせることで獲物をおびき寄せます。


ホウライエソという魚は、光ることで敵から身を隠す役割を持っています。暗い深海での光は目立ってしまいそうですが、200~1,000mの深さには僅かな光が差していて、下から見上げると影ができてしまいます。お腹を光らせると、上から差す太陽光に同化することができ、敵から見付かりづらくなるのです。

深さごとに生息する生物

深海は深さによって環境が大きく変わります。生息する生物も、深さによって大きく変わります。



200~1,000mは生物の種類も多く、食用魚として馴染みのあるムツやハマダイなどの魚もちらほらと見受けられました。僅かな光を少しでも多く取り入れようと、目が大きく発達したものが多いのだそう。


深くなるにつれて、生物の種類はどんどん減っていきます。6,000m以上の深さでは、展示されている標本の数も僅か。特に魚類は種類も少なくなり、深い場所ではうなぎのようなにゅるっとした姿で、目は小さく退化していく傾向にあるそうです。
一番上の段の生き物は、なんと8,000mもの深海に生息しているのです。写真の左上の標本は、ヨミノアシロという魚で、現在確認されている中で最も深い場所に生息する魚です。

深海の巨大生物

前回の開催の時に人気を集めたダイオウイカをはじめ、深海に生きる巨大生物の標本が多数展示されていました。


魚類の中で一際大きいのが、こちらのオンデンザメです。展示されていた個体は3mほどの大きさでしたが、6~7mもの大きさの発見例もある巨大な深海ザメです。


ダイオウイカの標本は、記念撮影をする人で賑わっていました。体長4mの大きなイカが立てて展示してある様は圧巻。比較のために展示されたスルメイカと比べると、その大きさは明らかです。

深海に生息する巨大イカは、ダイオウイカだけではありません。南極には、ダイオウホウズキイカという巨大イカが存在しています。見つかっているものの体長は5メートルで重さは500kgと、ダイオウイカよりも短いですが、体が太い分重さはこちらが上回っています。


クジラのお腹から出てきた、ダイオウホウズキイカの足の一部の標本が展示されていました。吸盤には棘のようなものがついており、獲物を掴んだら離さない構造となっています。この太さで巻きつかれたらひとたまりもなさそうです。今後、ダイオウイカよりも大きなサイズのダイオウホウズキイカが見つかるのではないかと期待が高まりますね。

新種の深海魚

深海では数多くの新種が発見されており、なんと今回は、その新種と思わしき深海魚が展示されているのです。
セキトリイワシ科ではないか?というところまでは判明しているそうですが、なんと体長は1.4mもあり、セキトリイワシよりもかなりの大きさです。こちらは種類新種認定のための申請中で、写真撮影はNGとなっております。ぜひ実際に足を運んで、ご自身の目でご確認ください。

深海の調査について

深海の調査というと未知の生物の調査というイメージが強いですが、震災の原因の究明や、海底に眠る資源の調査などにも活躍しています。



調査を行う潜水艇「しんかい6500」と、その内部の様子を模型で見ることができます。内部はかなりこじんまりとしていますが、これでも実物の1.5倍のサイズ。大人3名が乗るにはかなり窮屈そうです。


東日本大震災の後、海底には大きな亀裂が生じていました。この様子を知ることができたのも、「しんかい6500」の調査の一環なのですね。

おまけ オオグソクムシせんべいを食べてみた


展示の出口はミュージアムショップになっており、深海生物のグッズがたくさん並んでいました。中でも異彩を放つのが、こちらの「オオグソクムシせんべい」。パッケージにも記載のあるように、こちらは深海生物のオオグソクムシが練り込まれたせんべいとなっています。


見た目はよくあるソフトせんべいのようですが、所々に見える茶色い粒がオオグソクムシの殻の部分。エビやシャコに近い味がするとのことで、恐る恐る食べてみましたが………

「普通に塩せんべいじゃない?」
「甲殻類っぽい味はする気がするけど、薄味でよくわからない」
「素朴で複雑な味がする…」


せんべいに含まれるオオグソクムシも微量なのか、これがオオグソクムシの味だとはっきり感じ取るのは少々難しいものでした。しかし美味しくないという意見は全く出ず、深海の珍味はなかなかの美味だったようです!
ちなみに静岡県焼津市へのふるさと納税で、お礼の品として生きたオオグソクムシを手に入れることができるそうです。オオグソクムシの味が気になる!食べてみたい!という方は、調べてみてはいかがでしょうか。

まとめ

特別展に入場すると、国立科学博物館の常設展示も無料で見ることができます。常設展には恐竜の化石や、数多くの生き物の剥製、特別展の展示とはまた別のダイオウイカの標本も見ることができます。
宿題の自由研究も捗ること間違い無し、ぜひ夏休みの間に訪れてみてはいかがでしょうか。

特別展「深海2017」
会期:2017年7月11日(火) ~ 2017年10月1日(日)
休館日:2017年7月18日(火) 9月4日(月) 11日(月) 19日(火)
会場:国立科学博物館 〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
開催時間:9:00~17:00(金曜日・土曜日は午後8時まで)※入場は各終了時刻の30分前まで
入場料:一般・大学生 1,600円
    小・中・高校生 600円
タグ:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加